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記事: 日本におけるオーソモレキュラー栄養療法 vol.3

日本におけるオーソモレキュラー栄養療法 vol.3

日本におけるオーソモレキュラー栄養療法 vol.3

柳澤厚生(あつお)先生は日本オーソモレキュラー医学会を立ち上げた立役者です。今回はその舞台裏をお聞きしました。


柳澤先生とオーソモレキュラー栄養療法の出会い

ー先生とオーソモレキュラー栄養療法の出会いを聞かせてください。
2005年に、日本在住のアメリカ人から「悪性リンパ腫にかかっている」、「ビタミンCを50グラム打ってほしい、知人から栄養療法を勧められた」と相談されたことが始まりでした。

当時は聞いたことがない治療だったので断ろうとしましたが、海外の研究者3名に問い合わせたところ、3人とも口をそろえて「悪性リンパ種にはビタミンCが有効だ」という回答でした。これをきっかけに栄養療法や点滴療法に興味を持って学ぶようになり、日本に広める活動を始めました。

その後、点滴療法をアジアに広めた功績として、国際オーソモレキュラー医学会の「殿堂入り」に推薦されました。迷った末に、殿堂入りの話を受け入れると決意した2日後に発生したのが、忘れもしない、2011年の東日本大震災と福島の原発事故です。この事故は私の転機となりました。


ー原発事故が、どんな転機となったのでしょうか?

原発事故が発生した直後、私はこれまでの知見から、ビタミンCを使って放射線障害を予防する方法を提唱しました。被ばくすると体内では有害な活性酸素が発生し、遺伝子や臓器を攻撃します。それならば、活性酸素を消す働きをもつビタミンCが有効だ、と。


ー国内の反応はいかがでしたか?

あらゆる手を尽くしましたが、新しい医療に対する反発は激しく、私の声は残念ながら届きませんでした。その一方、海外では称賛を浴びました。「おまえが言ってることは正しい!」と。原発事故発生後、海外の講演で「ビタミンCの放射線傷害への有用性」を語りかけると、スタンディングオベーションが起こりました。

地道に講演活動を続けたことが評価され、翌年の2012年に国際オーソモレキュラー医学会の会長を拝命しました。またもや迷ったものの「ここで断ったら男じゃないぞ!」とメンターに諭され、腹を決めました。



日本でも広がり始めたオーソモレキュラー栄養療法

ー反発があるなか、先生はどのようにオーソモレキュラー栄養療法を国内に広めたのでしょうか?

2017年に、日本オーソモレキュラー医学会の母体となる協会を立ち上げました。2018年に国際オーソモレキュラー医学会東京大会が開催されるのに合わせて、この形をとったんです。結果、東京大会は大成功でした。ドトールコーヒーやメルセデス・ベンツなど企業が協賛してくださり、土曜の午後にも関わらず、全国から2000人以上のドクターが集結してくださいました。


ーその時の感触はいかがでしたか?

日本国内にオーソモレキュラー栄養療法への期待と関心があること、栄養療法を学びたいドクターは多くいることを実感しました。オーソモレキュラー栄養療法を学ぶのは、主に医療の限界を感じているドクターたちです。日本の医学部で栄養について学ぶ時間はほぼありません。彼らは必要性を感じて、自主的に学んでいるのです。

誤解のないようお伝えすると、日本には栄養療法の存在を知らないドクターは大勢いますし、反対派も少なくありません。


ー日本オーソモレキュラー医学会の発足にあたり、大変だったことがあれば教えてください。

どんな医学会にするか、どんな組織にするか。随分頭を使って慎重に考えましたね。私が理想とするのは、誰に対しても忖度(そんたく)しない、リベラルな組織。ドクター、企業、国民、すべてが対等な関係性でありたかったんです。

マグネシウムが分かりやすい事例で、マグネシウムは安価であり、製薬会社の利益にはつながりません。製薬会社と学会の距離が近くては、リベラルな情報発信はできなくなってしまいます。

試行錯誤の末、会員のドクター向けではなく、国民に向けて直接情報を発信する、一般市民に開かれた学会にしました。ホームページは一般の方がライブラリーのように利用できる体制にしています。「マグネシウムについて情報を知りたい」と思ったら、日本オーソモレキュラー医学会のホームページで検索してください。栄養療法に関心がある方であれば面白いと思いますよ。

日本オーソモレキュラー医学会 公式HP
https://isom-japan.org


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最終回のvol.4は、柳澤先生の素顔に迫ります。どうぞお楽しみに!

ー過去回ー

日本オーソモレキュラー医学会 柳澤氏に聞く マグネシウムは基本の「き」VOL.1

【知らないと損する?】オーソモレキュラー栄養療法の観点からみたマグネシウムの重要性 VOL.2

 

profile

柳澤厚生(やなぎさわあつお)

長野県出身、1951年生まれ。杏林大学医学部卒、同大学院修了。高濃度ビタミンC点滴療法をはじめ、日本にオーソモレキュラー栄養療法を広げる。2012年より国際オーソモレキュラー医学会会長。

心臓病専門医
国際オーソモレキュラー医学会会長
一般社団法人 日本オーソモレキュラー医学会 代表理事
点滴療法研究会会長
鎌倉元氣クリニック名誉院長
オーガニックサイエンス社 特別顧問

 

目次

オーソモレキュラー医学会 柳澤氏に聞く
マグネシウムは基本の「き」
 
vol.1日本オーソモレキュラー医学会 柳澤氏に聞く マグネシウムは基本の「き」
vol.2【知らないと損する?】オーソモレキュラー栄養療法の観点からみたマグネシウムの重要性

vol.3 日本におけるオーソモレキュラー栄養療法

vol.4 柳澤厚生の信念と強さ

 

リンク

・日本オーソモレキュラー医学会 公式HP
https://isom-japan.org/top_after

・「マグバーム」
https://mgbalm.jp

・「マグバーム」開発ストーリー(マグバームサイト内)https://mgbalm.jp/pages/story